「聞くだけで英語がペラペラに」こんなふざけた宣伝文句を見たことがありますか?本記事では、そんな聞くだけ系の教材の嘘をあばいていきたいと思います。英語を真剣に習得したい人は必見です。夢を見続けたい、騙され続けたい人は…どうぞそのまま頑張ってください。
英語を聞くだけでペラペラ話せるようにはなりません

突然ですが、
あなたの日本語は、いつペラペラになりましたか?
いつまともに人の話を聞けるようになりましたか?
いつまともにペラペラと話せるようになりましたか?
小学生?中学生?高校生?大学生?社会人?
仮に、あなたの日本語が「ペラペラ」になったのが中学生だとしましょう。それでは、中学生までにあなたがやったことは、
「耳にイヤホンをぶっ刺して、一方的に流れ続ける例文を聞く」
「だけ」でしたか?
もちろん、そんなわけありません。何度も言いますが、英語を聞くだけでペラペラ話せるようには絶対になりません。思い出してください。あなたの日本語が流暢にペラペラと話せるようになるまでに、何をやってきたのか。
本を読みませんでした?漫画を読みませんでした?友達と一緒に遊んだり、兄弟と口喧嘩したりしませんでした?おばあちゃんの話を長々と聞かされませんでしたか?夏休みに読書感想文とか書かされませんでした?悪さをして怒られて必死に言い訳を考えて、自分は悪くないと必死に先生や親に伝えようとしませんでした?
何が言いたいかというと、言語能力とは、読み、聞き、話し、書き、さらには交流、ふれあい、相互作用まで含んだ包括的かつ総合的なスキルだということ。言葉を身に着け、ペラペラと喋れるようになるためには、いろいろやらなければならないということです。私たちは母語である日本語を習得する過程で、リーディングもリスニングもスピーキングもライティングも、コミュニケーションもインタラクションもすべて、少しずつ、でも確実に、総合的に身に着けているのです。
「聞くだけでペラペラ話せるようになる?」
なにかの冗談でしょう。まさか、そんなものでお金をとっている教材なんてあるわけないですよね?だってもし、そんなものがあったら…
まるで詐欺じゃないですか。
英語を聞くだけでペラペラ系の教材が使う言葉の嘘

赤ちゃん理論に騙されるな!
「でっ…でも赤ちゃんは聞きますよね?赤ちゃんは聞いて言葉を身に着けるじゃないですか!」
お前は赤ちゃんなのか?
ずいぶんデカい赤ちゃんだな
冗談はこの辺にしておきますが、これに関して言いたいことが3つあります。
- 我々は赤ちゃんではない(大真面目)
- 仮に赤ちゃんだとしても、前述のとおり聞くだけでペラペラにはならない
- 赤ちゃんの親は、一方的に流れる音声ではない
2は既に述べたので、1と3について考えます。
我々は赤ちゃんではない!

私たちは元(もと)赤ちゃんであって、現役の赤ちゃんではありません。赤ちゃんと大人とでは脳の仕組みが違います。赤ちゃんの脳はいわば白紙の状態。なんでも書き込めます。ロシア語も中国語もスワヒリ語も日本語も英語も、自由自在に習得します。赤ちゃんは学びの天才です。そんな赤ちゃん、いや赤様というべき存在の脳と、すでに日本語が書き込まれ凝り固まった私たち大人の脳を、同じように考えるのは間違いです。
赤ちゃんの親は一方的に流れる例文音声ではない!
親はイヤホンですか?


ちがいますよね。赤ちゃんの親は、意思疎通を試みてくる血の通った生き物です。親は赤ちゃんの命を握っています。赤ちゃんも生きるために必要なものを親に要求します。親はそれに応えるために、赤ちゃんにつきっきりで目と目を合わせて語り掛けます。ポイントはこの「相互性」です。
イヤホンにはこの相互性がありません。目も合わせません。命にもかかわらないので、必死さや緊張感もありません。そういった言語習得の本質的な部分が、「赤ちゃん由来の聞くだけ法」には皆無なのです。
一方は命に係わる血の繋がった24時間365日つきっきりの愛情がたっぷりこもった親子のコミュニケーションの中のリスニング。もう一方は文脈も状況も伴わないロボットのような相互性のかけらもない一方的に流れるだけの例文音声を聞くだけのパチモンリスニング。これら二つを同じだと考えるのは間違いです。繰り返しになりますが、英語はそういった音声を聞くだけではペラペラにはならないのです。
赤ちゃんが~云々言うのであれば、そういう「ネイティブの両親」をお金で雇って、赤ちゃんプレイでもしないかぎり、聞くだけ赤ちゃん法とやらに再現性はありません。
仮に聞くだけでいいなら高額な教材を買う必要ナシ

それに聞くだけでいいなら、今のご時世、Youtubeやインターネットラジオでいいじゃないですか。買う必要もないし、量も質も種類も無限だし、ネット上から好きなものを選べばいいんですよ。その教材でしか聞けない情報があるなら別ですが、どうせ英語の例文と日本語訳を読み上げるだけじゃないですか。
なにより、どこのだれかもわからないような日本人のおっさんおばさんが作った英語の教材なんて面白い可能性が0パーセントですよ。面白くなければ続けることすらできませんから、高額でそんな粗大ごみを買う意味がわかりません。現代では、その10分の一の値段で、Netflixやhulu等で内容のある映画を好きなだけ観たり、キンドルで良質な洋書やら漫画やらを読んだり、オンライン英会話でネイティブと話したりできるわけで、時代遅れの化石のような下劣で詐欺まがいの教材を数万円も払って支えてあげるのはもうそろそろ止めにしましょう。そういうのは平成でおしまいです。
聞くことは必要条件であって十分条件ではない

最後に、誤解しないでほしいのは、「聞くこと」を否定しているわけではないということです。リスニングはとても大切です。しかし、英語をペラペラに話すために必要なものであっても、それだけで十分なものではないのです。
聞く「だけ」でペラペラになれる?
この「だけ」というワードに引っかかってるのです。
聞く「だけ」で英語がペラペラになれるなんて考えないで、聞くこと「も」大切だけどほかの活動「も」やらなければいけません。聞く、話す、読む、書く、人とかかわる、相互性をもったやりとりをする、そういった総合的なアプローチをとらなければ、ペラペラに英語を話せる日はこないと思った方が良いですよ。
変な教材に引っかからないように注意しましょう。